課 題

【いただいた課題】   (2010年05月)
      100W局_から距離4kmの受信点で,
            スピーカーで聞くことができるか?



@ ラジオ局(送信電力 100w)から 自宅まで直線での距離 約4km
     このような条件で,無電源ラジオをスピーカーで聞くことは無理でしょうか?

A 検波電圧がどの程度でないと聞こえないのでしょうか?
    検波電圧とは
検波ダイオードの後とグランド間の電圧を言うのですか?
    テスタで測定可能ですか?  
                             (2010/05/24に頂いたメールよりの抜粋)


【当初の見通し】
  ご依頼のあった,
  周波数1400KHz・出力100W・距離4km(遮蔽物がなく見通しできる)との環境で,
  私の受信システム(周長約40mの LOOPアンテナ)を用いた場合,

    
-16dBm(=1/40ミリワット=0.025ミリワット)前後の受信電力と,
    スピーカーから 約33ホーン前後
の音圧が得られます。 
    この時の
音圧は,静かな部屋でスピーカーから1mの位置でアナウンサーの言葉が
    明瞭に確認できる強さとなります。


  40cm角(面積0.16u)のLOOPアンテナを用いた場合の受信電力は,
  周長約40mのLOOPアンテナの −27dB(1/500倍)程になります。
  スピーカに耳を密着させた状態でやっと聞こえる状況となります。
     ⇒スピーカーで聞けたとは言い難いレベル
                                   ( 2010/05/24のメール回答文を,整理したもの)

【最終的な見解】 (初版2011/03/08  文章見直し2013/01/11 )
  @ 実用最低限の音圧(最低30ホーン前後必要)を得るには,
     -16dBm〜-18dBm程度の受信電力が必要。


     送信電力20KWの局から10km(見通し)の距離の場合は
     1uの面積をもつLOOPアンテナで実現できます

     ただし,
     送信電力100Wの局から距離4km(見通し)の場合は

    
 40u程度の面積(例:底辺8m、高さ10mの直角三角形)をもつ
    LOOPアンテナが必要と考えられます。

    

  Aダイオード1個による検波回路では,
          検波ダイオードの後とグランド間の直流電圧
です。

    ・アナログテスタの内部抵抗はその価格帯により2KΩ/V〜20KΩ/V程度と差があります。 
     検波出力電圧の測定には, 20KΩ/V を使いたいところです。

    ・デジタルテスタの場合は内部抵抗が1MΩと高いので最適です,
     この場合は,検波出力端子とGND間に10kΩ〜100kΩ程の抵抗を接続してください。
      
    ・私の受信機とスピーカ(フォステクスFE167E)の組合わせでは,
     0.25VDC(←直流電圧)のとき,30ホーンのの音圧(音量)が確認されています。 
     静かな室内において,30ホーンが実用最低限の音の大きさとでした。


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  送受信アンテナ間の大地が概ね平地で ほぼ見通し状態と仮定し,
  直接波の自由空間損失だけに着目した算定法で概算値を求めてみます。
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   周波数:1.4MHz  距離:4.0km での自由空間損失 Lspは、

      Lsp =32.4 + 20log f (MHz) +20logD(km)

      Lsp =32.4 + 20log 1.4 +20log 4
         =32.4 + 2.92    +12.0
         =47.32  [dB]


    大型のLOOPアンテナ(40u)で受信したときの受信電力 Pr は

        Pt(送信電力):      50.0  [dBm]  (100W)
        Gt(送信アンテナ利得): +2.1 [ dBi ]
        Gr(受信アンテナ利得): −19.6 [dBi]
( Gr=4π/(300/1.4)2*40) 

     Pr = Pt  + Gt  − Lsp   + Gr  
        = 50 + 2.1 − 47.3 − 19.6 
        = −14.8 [dBm] 
        ≒ 0.033
  [ mW ] 

     無電源ラジオの能力(スピーカー能率含む)が
     −19dBmの受信電力で32ホーンの音を出せる場合
        スピーカから1mはなれて 36ホーン?
      
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  中波放送波帯における一般的な電界強度を用いた計算法で求めて見ると
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 無線局免許手続規則第七条第二項の規定に基づく放送区域等を計算による電界強度.(山岳・丘陵・平野)
                https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72073000.html
                 300/Dkm [mV/m]は海上伝播の電界強度カーブ 

      空中線電力が100Wの場合 縦軸の値を √(0.1)=0.333 倍にして読む
      4km 1.4MHZ の場合の電界強度Eは  80 mV/m(海面1KW) →  26.7 mV/m(海面100W)
                                 40 mV/m(平野1KW) →  13.3 mV/m(平野100W)
      LOOP面積40uでの受信電力Prは
            Pr=40*E/(2*377)
              =40*26.7*26.7*10-6/754
              =0.0378 *10-3 W 
              ≒ −14.2 dBm ,   1.4MHz/平野の場合6dB減じ −20dBm

 

ラジオ周波数/放送局一覧(周波数と空中線電力)
  https://freq.a-nkmr.com/


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著作権情報
初 版    :2010/05/26.
最終更新日:
2024/12/15. 文脈を整理・自由空間損失計算追記しました。