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  ゲルマニウムラジオに
最適なスピーカーのかたち 

     著作権情報
     初 版 :2000/09/30
    最終更新日:2015/01/31
 

            
            2008年より,
            スピーカユニットに FE167E(フォステクス製)を使用。
            スピーカートランス(5K〜10KΩ:8Ω)は外付。

            乾電池が写っていますが,
            タイマ(PIC使用)の電源です。 

            2012年2月からは,
            BOSE社製スピーカー BOX 301-AV の
            20cmスピーカーを外し,
            FE167E(94dB/W(m))を取付して
            聞いています。
              
            このFE167Eを使用し始めてから,
            この音質を超える市販のラジオは無いのでは
            と思う程の秀逸な音質。
                           

  2000年夏から2008年までの間,
  ミニコンポ用ブックシェルフサイズのスピーカーを使用。
  スピーカトランスは受信機内部に収容。

  当初600Ω:8Ω のトランスを使用していたが,
  その後,5K〜10KΩ前後の方が音質・音量が優れている事が判明。

  電圧計の針が約300mV※を指していますが,もちろん,このエネルギー源は電波。

  ※この写真の時点では、フルスケール時 500mV。
    この後の回路改良による指針の振れ増加に伴い,
    フルスケール2.5Vに変更。 
  

【 はじめに 】

 非力なゲルマニウムラジオの検波出力で
 直接スピーカーを駆動し明瞭な音を出すことを想定したとき,
 次のような検討手順で実験を進めるのが肝要と考えました。


  1. より変換効率(電気信号→音)の良いスピーカーユニットをさがす
      身の回りにあるスピーカーBOXや電子工作用の小型スピーカー
      の変換効率を把握。

  2. スピーカーBOXの有無や,構造による変換効率の差を把握。


  3. 目標の音量を得るのに必要なエネルギーを把握。


  4. 実現可能な最大のサイズのアンテナと標準的なゲルマニウムラジオ
     の回路をスタート台にし、
     アンテナや受信回路の試行錯誤による最適化を行う。  


 以下は、1.〜3.項の実験確認結果です。
   ( 4.項については、アンテナおよび回路の項を参照ください )

 このような手順を踏んだおかげで,変換効率の悪いスピーカーを運悪く使用してしまい,
 アンテナや受信回路をいくら改善しても思ったような大きさの音が出ない!
 といった状態に陥らずに済んだように思います。
                                          (2000/09/30)

  5. 室内の騒音を下げる。
       冬の寒さ対策で窓サッシを二重サッシにした所,
      断熱のみならず,遮音性も著しく向上。
      日中帯でも深夜並の静けさとなり,
      相対的に,ゲルマラジオのスピーカー音が大きくなったように感じます。
                                            
      ※スピーカーからの音を大きくする事も重要ですが,屋外からの騒音遮蔽や,
       屋内(室内)で発生する目的外の音(パソコンのファン?の音など)を小さくする
       工夫も有効。
                                        (2014/02/16)


【変換効率(感度)の良いスピーカ はどれ? 】


 信号発生器(600Hz:カセットデッキ内臓の録音レベル確認用試験信号)と
 簡易 レベル計 (マイクロフォン+カセットデッキのVUメータ(※1))
 を使用して,相対的なスピーカーの変換効率(電気→音)を調べてみました。
     
 自由研究に望んだ際,できるだけ専門的な測定器の使用を避けたいと考えから,
 この当時にぎりぎり存在した・・VUメータや録音レベル確認用シングルトーン発信機を内臓した
 カセット・テープデッキを使用したものです。 

 〔結 果〕

  電子部品屋さんで売っていた口径7cm程度の小型スピーカーは,
  ミニコンポ用のスピーカーBOXと比較すると13dB(20倍)も効率が悪いことが判りました。
  これは,ボイスコイルの直流抵抗が大きいことやマグネットが非力そうなことからも
  明らかなのですが,
  今回のような用途では致命的な効率の悪さといえます。

  大型のスピーカーBOXとミニコンポ用では,数dB程度の差があるか
  無いか?といった程度の違いしか確認できませんでした。
    ※大型のスピーカーBOXでは、大小3つのスピーカーユニットで音域を分担
      する為の回路が介在しており,この部分の損失分があり,
      大型のスピーカーBOXの圧勝とならなかたと推察。

 以上の結果から、当初予定していた口径7cm前後のスピーカーを、
 ゲルマニウム受信機に内臓する事をあきらめ、
 ミニコンポ用 スピーカーBOXを使用する事としました

                                           (2000/09/30)


【スピーカーBOXの有無や構造で変換効率は変わる?】


 スピーカーユニット単体で使用した場合、
 コーン紙の表と裏では音圧の位相が全く逆であることから、、
 スピーカーの縁付近で表と裏から出た音がお互いに弱め合う現象が発生
 します。

 この為、平板に穴をあけてスピーカーを取り付けたり、
 密閉型の箱にスピーカーを取り付けることにより、
 スピーカーの裏面から出る音の影響を軽減します。

 逆に、スピーカーの裏面から出た音を、管路で位相調整をしながら表側に導き、
 表裏の音圧を同位相で合成するも手法あります。

 当初、位相調整や指向特性による効率の改善を検討しましたが、
  1) 特定の周波数帯域の改善となる。
  2) 密閉型BOXと比較して、最大でも3dBしか改善されない。
  3) ホーン型の筒により、一方向に音を集中させる方法が考えられるが
     構造が大型になる恐れがある。

 などの事から、
 この方面の追求は後日の検討にゆだね、アンテナや受信回路に労力をつぎ込む
 事にしました。             
                                     (2000年09月時点)



【スピーカーBOXの有無や構造で変換効率は変わる?(追記:2006/07/09)】

 ・ 2006/06/18 
   100円ショップで手に入る材料にて興味深い実験をされているHP
   見つけましたので参照ください。

 ・ 2006/06/24
   トランペットスピーカー(5W 口径13cm)が高効率であったとの貴重な情報を頂きました
   仕様例(5W 口径16cm)および写真を、用語のページに掲載しました。

 ・ スピーカBOXの有無やホーン構造のほかに、
   ドライバーユニットの効率(永久磁石の強さ・磁気回路構造・ボイスコイルの直流抵抗の低さなど)
   が重要と考えられます。
   トランペットスピーカーやレフレックススピーカー用のドライブユニットは、
   この点で非常に優れていることが容易に推測(外形、用途から)できます。
 ・ フルレンジスピーカーユニットにおいても、高効率の磁気回路を持ったものがあり、評価の価値がありそうです。


(追試実験結果)

【 スピーカーを鳴らすのに最低必要な
              エネルギーは何ワット?  】

  
 スピーカーを鳴らすのに必要なエネルギーについて調べてみました。
 
   信号発生器(600Hz)の信号を断続し、スピーカーから1mの位置で、
 音の有無が聞き取れる最低のエネルギーについて調べてみました。

    スピーカー :
            ミニコンポ用スピーカーBOX  (アイワ製)
    
         

    信号発生器付レベルメーター:
                     
         

    測定時間帯:
            深夜の非常に静かな時間帯

    測定方法:
            LM−312(大井電気製)+600Ω:10Ωトランス(Sansui ST−45)+スピーカ 
            の構成で
            オシレータの出力レベルを少しずつ下げて行き,音の断続が判別できる最低レベル
            を確認

    測定結果::  −50dBm ( 1×10-5 mW ) - - - @

                 1mWの 1/10万 という驚くほど小さなエネルギー!
    耳の良い人なら、−53〜-56dBmの結果が出るかもしれません。
    個人差や体調,周波数やスピーカーの設置状況も影響すると考えられることから、
    あくまで参考値です。

    このスピーカーに
          1mW(0dBm)  の電力を加えた場合 ⇒ 1m離れた位置で 約50ホーン
        1000mW(+30dBm)の電力を加えた場合 ⇒ 1m離れた位置で 約80ホーン
                               の音を出せる効率をもつと推定
        従ってこのスピーカーの
        SPL(出力音圧レベル)= 80dB/W(1m)となります。 


    市販のオーデイオ用スピーカーユニットでは、SPL=84〜94dBの値が一般的
    な事から、80dB/W(1m)という結果は大きくは外れていない値と思います。
    
    


(追試実験結果)

【 電波の力で直接スピーカーが鳴った!!
               この
音の大きさは何ホーン? 】    

    当初は、スピーカーに耳をくっつけた状態で、鳴っているのがやっとわかる程度だったものが、
    アンテナや受信回路の工夫により、日中帯の家の中で、5〜6m離れても十分内容が聞き取れる
    までになりました。

     ・ この音量は何ホーンなのか?
     ・ 騒音計を使わないで、推定値を求める方法はないのか?
       (騒音計(音圧計)が身近に無かった為の発想なのですが・・・・。)
       という疑問にぶつかり、以下のような手法で音の大きさを推定してみました。

       放送を受信して、スピーカーから音が出ている状態で、
       トランスの一次側(600Ω)の信号レベルを測定( LM−311(大井電気製) 入力Hiインピーダンスに設定)
       したところ、

             −13dBm (1mW の 1/20  = 50μW) - - - A
             

       という電力に相当する音声電圧が測定できました。
          ※ 初号機 (回路その1)は,本測定を意識して、スピーカートランスは600:8Ωを使用。
       
       
    今回使用のスピーカーBOXに、
    −50dBm(@600Hz)の電力が加えられて、いるときの音圧を 0 ホーンと仮定
    −13dBmの電力が加えられた場合の音圧は、
                 37ホーン(離隔1m)と推定されます。   (2000/10/14)
                    


【 電波の力で直接スピーカーが鳴った!!
               この
音の大きさは何ホーン?(その2) 】   


    測定器(リーククランプメータ)は、商用電源_屋内配線設備の漏れ電流(微小電流)測定を
    得意とする測定器です。
    電源線を2本挟んでその行き帰りの電流差を測定する使い方(電流差=もれ電流)や,
    アース線1本を挟んで,その線に流れる電流を測る使い方をします・・・・。


    今回は,
    写真のように8Ωのスピーカラインの片方を挟みこみ,
    音声電流を測定。

   
        受信機の信号強度メータが1.9Vを指しているときの
        スピーカ(8Ω)ラインの音声電流を測定
        2.56mA   (2024/09/20)

        この時の音声電力Pは、
           P = I ×  R
             = 2.56 × 10−3−3 × 8
             = 53.6 × 10−6 (W)

             =10×LOG10(53.6×10−6
             = −42.8   (dBW)

        スピーカのSPLが 94dB/1m(W)なので
        スピーカーから1mの位置の音の大きさPsは
           P = SPL+P
              = 94 −42.8
              = 51.2 (dB/m)   51ホーン


        微小交流電流が測れる
        クランプメータ(例:HIOKI 3293−50)があれば,
        簡便に スピーカー系の駆動電力がチェックできます。

        ただし
        商用電源(50HZ/60HZ)の電流測定器を
        オーデイオ周波数帯の歪波電流の測定に流用している
        ため,測定結果は参考値になります。
        
        クランプメータに商用電源周波数帯用LPF(ローパスフィルタ)の機能を持って
        いる場合は,このフィルタをOFFにして測定すること(注意点)。
                       (2024/09/20)


     加齢と付き合う年齢になり資料追加しました  (2023-10-15)



【レフレックスホーンスピーカーによる音圧の改善 】
   
   

〔参考〕
  本評価は、2006/06/24に頂いたメール(原文はコメントのページを
  参照ください)にて,

  ST-16(300KΩ:1KΩ) +ST-81(1KΩ・8Ω)
  
トランペットスピーカー(出力5W 口径13Cm)

 の組合わせで良好な結果が得られたとのリポートを頂き,
 追試(2007/6/2)しました。
 入手した小型ホーンスピーカはトランスを内臓しており、
 背面の選択スイッチで1K、3K、5KΩを選択できるものです。
 

(ホーンスピーカー入手)
 TC-51(ジャンク品)を安価に入手できたことからさっそく
 実験。
         
(評価前の予想)
 既存のスピーカーBOXは SPL=80dBと推測され、
 今回入手のレフレックススピーカー仕様 SPL=106dBを
 そのまま引用できるのなら、
 26dB(少なくとも10dB以上)の音圧アップが望めるはず。

(いきなり総評)
    まったく、別次元!!  
        驚きの音量。
(2007/06/02)

 音圧の試算
   
背面のインピーダンスを2KΩに設定して、
    600Ω系のレベルメータで-13dBm(Hiインピーダンス)

    このときの電圧Eは、
      E=√(1/20/1000*600)=0.173V
    2KΩ負荷で、0.173VのときのパワーPは、
      P=E2/2000=0.00001496(W)=-48.3dB
                           ( -18.3dBm)
    SPL=106dB?とすると、 52ホーン?   
                           (106-48.3=52)



この周波数特性は、TC-51Mのものではないが、この方式の特性例
 ・ 1KHzから低域側が6dB/octで下がっている
 ・ 3KHzを越えたあたりから急激に下がっている
 ・ 1KHzから3KHzあたりの声の帯域での音圧は、
   さすがにすごい・・・。


           
 明瞭な音質(癖あり・・)と高い効率は非力なゲルマラジオにとって
 強力な組合わせです!

 ※音に癖があるため、
   FE167E使用後は出番が無くなりました。

 ※防滴・機械強度に優れており、屋外実験で
   大変重宝。
(記:2011/02/09) 
【FE167Eによる、音圧改善と、澄み切った繊細で明るい音に到達 】
                                                                          (2008/02)
      

       Fostex社の、16cmフルレンジスピーカーユニット FE167E(16cm SPL=94dB)に、
       簡易なバッフルを取り付け試聴。
(トランスは3.3KΩ:8Ωを使用。 1.7kΩでは、わずかな歪みを感じた。⇒この後5KΩ〜10kΩで使用)

       結果:なんと繊細で明るい音・・・・・・。
           音圧は既存のブックシェルフスピーカーと、レフレックスホーンの間ぐらい。
           日中帯の静かな家の中で、9m程 離れてもアナウンサーの話が100%聞き取れる。



          FE167Eから、
1m離れた位置での音圧:約50dB(A)
          
商取引不可 家庭用 デジタル騒音計という意味不明のふれこみ・・・、
                   信頼度は不明だが、それらしい値。
           
                    ちなみに、レフレックスホーンでは、約56dB(A) が確認できました。  
                                                       (2008/05/28 )  

                   騒音計専門メーカー製のものでは,20dB(A)付近の値も余裕で測れた経験が
                   あるのですが,値段の差でしょうか・・・40dB(A)以下の測定は苦手のようです。

 

              

 
                                                                      (2008/06/01)
     上記の表では、一旦、端子電圧を逆算した後に、5KΩにおける電力を算出していますが、
     LM311の表示電力を 単に−9.2 すれば、5KΩでの端子電力が算出できます。
          10*log10(600/5000)≒-9.2

 
        ↑ 200年8月に作成した表のリメイク版。


   2009/11/22時点では、
   アンテナ系の微妙な改良により
2.5Vfsのメータが振切れ、
   
スピーカー(FE167E)から1m位置で、53dB(A)の音圧が得られました!
        







スピーカートランス 通常は 5K:8Ωで使用
受信機側からは右の写真のようにミノムシクリップで接続。

左から,                            
タイマー ・ 電波時計 ・ ゲルマラジオ




最近(2011年1月16日) の写真です。 季節や時間帯で2.2V〜2.5Vの大変ゆっくりとした変動があります・・・。

送信所(20Kw)から10Km離れた受信点で, この日は 2.5Vまで振れています。

メータ回路の直流抵抗は11.5KΩなのでメーター回路部分での消費電力は 0.54mW

 【 番 外 編 】
     古い BOSE社 301-AV のスピーカーユニット(20cm)を, Fostex社 FE167Eに無理やり交換。

     FE167EをまともなBOXに入れてみたいと思い,
     301−AV に取り付け使用 ⇒ 非常に快適!! 
                                             2012年2月11日 〜 現在2020年5月 

     真新しかったコーン紙が12年の時を経て,ところどころにカビの汚れが・・・・・残念。
     机の上に置いていたときは乾燥していたが,机の脇下に置いていた際の環境が悪かったもよう。

研究のきっかけ・回路図・アンテナ・スピーカーなどの
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